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「ほめると子どもはダメになる」

ほめて育てることと反対と立場をとる本

●評価
全体評価:3-
1,2,3-,3,3+,4,57段階評価

内容:3

読みやすさ:3

コメント:ほめて育てる、叱らない子育てのアンチテーゼ的な本。個人的には賛成できないが、色々な子育ての思想を学ぶ上では役に立つかもしれない。

(2015年発行、榎本博明著 新潮社)

・本を読んで取り入れたいと思ったアクション

特になし

 

・本のポイント

(太字は私が勝手に引いた強調)

・しつけはことを心理学では社会化と呼ぶ。親自身の自己愛を満たすための子育ては、社会という視点の書けた子育ての私事化となる。叱るよりほめて育てるこどが大事といわれて、子ども達はすぐに傷つくようになった。

・レジリエンスは心理学用語で、強いストレス下でも健康状態を維持できる性質、ストレスの影響を緩和できる性質のこと。レジリエンスを高めるためには、無菌室のような過保護な生活空間で育つのではなく適度な挫折を繰り返し経験することが必要。

・アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国、日本の比較で「ちゃんとあいさつをしなさい」「うそをつくな」「友達と仲良く」などと父からも母からも言われない子どもは日本が圧倒的に多い。また子どもが「いじめを注意したこと」「友達のけんかをやめさせたこと」の割合も日本は低い。社会規範を子どもに教えることに対する欧米と日本の意識の違いは、欧米は公共のマナーに反する子を見つけたら他人でも大人が注意することが常識。社会的規範に反することは許さないという明確な基準がある。

・日本の大学生は、父親が厳しいほど「有能になりたいという想いが強い、失敗から学ぶ気持ちが強い」と答える傾向。母親が厳しいほど、「やる気があるほうだ、向上心が強い、目標達成したい」という性質を肯定する傾向。

・叱ると子どもが傷つきかわいそうだと思いやるか、長い目でみてここで厳しく叱って社会規範を叩き込むと社会適応に苦労することになりかわりそうだと、思いやるか。叱られることに慣れていないと、叱られることに抵抗ができる、また自分を振り返る習慣が身につかない。

・好きなこと、楽しいことは誰でもできる。楽しいことをするのに努力はいらない。人生は苦しいこともあるから、楽しいことしかできないということになると、愚痴だらけの悲しい人生になる。楽をしてできるようになりたい、好きじゃないことはしたくない。そのような努力いらずの文化を広めることで子どもの心から学び体質を奪っていく大人。

家庭内のルールを守る習慣がついていれば、子どもは学校などの集団生活でもより順応性を示す。

・心のケアを日常で使わない。平常時こそ厳しく育てる。子どもの自己肯定感が低いからとほめて育てるは間違い。その結果、傷つきやすく忍耐強く頑張れない子どもが増えてきて、自己肯定感のさらなる低下を招いた。ほめて育てるが浸透した今大切なのは、母性の暴走にブレーキをかけること。

・アメリカでは子どもとして納得できな叱られ方をしても反論を許さないような権威を大人が持っている。アメリカの母親は自分の権威を中心に動いているのに対し、日本の母親は子どもの気持ちを中心に動いている。

●感想あれこれ

現代の子どもは傷つきやすいので、厳しい状況でも耐性がある子を育てよう、という気持ちには賛成。これまで紹介してきた本は、基本的には褒めて育てる系が多く、叱ることを前面に出す本を読んでみたかった。

ただほめたら甘やかしだから叱れ、と言うのは単純過ぎな議論で、説得力がもう少し欲しかった。

ロジックとは別に、本全体の雰囲気に賛成できない理由を考えてみたところ、「私の時代はこんなに厳しく育てられた」的な老人の典型的若者批判や、体罰は悪影響を与えるという科学的調査が全盛の時代に「アメリカは体罰賛成が7割」という話、欧米あこがれ発言が目につくこと、社会規範を「叩き込む」という表現の選び方などなど。私の世代で拒否反応が起こってしまうので、それより下の親や子どもにはウケないだろう。これでは本当にほめる中心の育て方で、自己肯定感を育もうとする人間を説得することはできない。ただ厳しく育てれば強い子になると、昔の人が説教している感じだ。

私は、ただ叱れば頑張れる子になるということは幻想だと思っている。叱咤激励はいい。励ましは大いにやるべきだと思うが、ただ叱って強制的にやらせれば、頑張る力がつくと思うならばそれは勘違いだ。叱って言うことを強制させることばかりやると、子どもは奴隷化するだけだ。もちろん子どもが幼くて分別がないから、時には厳しく教え、過ちを正すことは必要だと思うが、叱れば頑張れるようになってレジリエンスがつくという簡単な話ではないだろう。叱ることはコミュニケーションの一手段でしかない。

まあ子どもが「ダメになる」って果物じゃあるまいし、タイトルから不安訴求で煽り過ぎ。好きなことをやっていても、人生は辛く苦しい時も来るから、そういう時のために厳しく育てるという論法だが、そもそものスタンスが暗い。

私は不安に戦う力という捉え方より、人生辛い時も苦しい時でも、その中で楽しみや幸せを見出してポジティブに生きれる自己肯定感を育てる、といった向き合い方をしたいものだ。

アリヴェデルチッ!

 

 

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