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「世界標準の子育て」

子育て全般と、他国の事例も少々。

●評価
全体評価:4
1,2,3-,3,3+,4,57段階評価

内容:4

読みやすさ:4

コメント:アメリカで子どもの教育に関わる著者の子育て本。ところどころに日本と海外の比較もあって、参考になる。子どもの自信を育てることが大切というメッセージに賛成。

(2017年発行、船津徹著 ダイヤモンド社)

 

  • 本を読んで取り入れたいと思ったアクション

・子どもの自信を育てること。6歳までは根拠のない自信、7歳以降は根拠のある自信を。勉強以外に根拠ある自信をつけさせるものを。

・従順さを促進するためではなく、自立心を育てるために褒める。

・たくさん笑わせる。親もニコニコ。

 

・本のポイント

(太字は私が勝手に引いた強調)

子育ての9割は子どもの自信を育てること。自信は成功体験から。親の過干渉は子どものやる気と自信を奪う。

・欧米では公共の場で子どもが騒いだり問題をおこせば、親はその場から子どもを連れ出して叱る。人前で叱らないのは子どものプライドをつぶさないため。1人の人間として自分の行動に責任を持ち、自分で行動を抑制することを教える。

・自信の他に、自分で考える力、コミュニケーション力が重要。

・子育てしやすい北欧の国の一番の要因は、父親の育児参加。それが母親の心の余裕につながり、子どもの人格を育てる。日本人は人に迷惑かけるな、ばかりで自身が持てず自分に価値がないと思ってしまう。命令・否定語を乱発しない、愛情をしっかりつたえる。

日本人はしつけのために褒める。言うことをきいたら褒め、従順さを促す。一方アメリカ人は自立心を育てるために褒める。自分の意志で行動できたら褒めて、自立を促す。

・勉強ができる子に共通する資質は、能力ではなく態度。態度を育てるのは学校ではなく親。特に6歳までの習慣作りが大切。

・身内の悪口を聞いた子どもは人を馬鹿にする子どもになる。

・0-6歳は「根拠のない自信」を親が育てる時期。7歳以降は「根拠ある自信」を子ども自身が獲得する時期。根拠のない自信は最初の反抗期も、親からかわいがられ、大切にされ、愛情をたっぷりもらうことから得られる自信。自信をつぶさずにしつけるには、なぜその行動をする必要があるのか、納得できる理由を説明する。反抗期の子どもを突き放しては、根拠のない自信が育たない。0-6歳は親が思う以上にスキンシップする。1-6歳はお手伝いで小さな成功体験を積ませる。感謝される喜びを経験させる。兄弟は下の子の面倒を上の子に頼む。7歳からは根拠ある自信を育てる。競争しながら1つのことを継続することで得られるもの。小学生になったら競争させて、たくましい心を育てる。勉強だけで根拠ある自信にもっていくことは難しい。

勉強以外に根拠ある自信をつけていくことがよい。チームスポーツはおすすめ。花形よりもニッチの分野やポジションが狙い目。習い事を10年継続させて、特技まで引き上げる。1番を目指して、物事を真剣に続ける。子どもが習い事をやめたいというのは、うまくできないから。両親が子どもの練習に協力してあげることが、自信につながる。

・13歳~はコンフォートゾーンから、居心地のよくない場所へ。この仲間が最高だ、居心地がいい、という感覚は成長が止まっているサイン。自分が一番という状態より、より優秀な人がいる環境にチャレンジした方がいい。大切なことは成長をとめないことで、根拠のある自信を確信に変えていく。実力よりもちょっと上を目指すこと。

・あきらめ癖の原因は、自信の不足、成功体験の不足、ルーティンの不足の3つ。対策は見守る、子どもの意志で選ばせる、日々の繰り返しを重視し生活習慣を改善する。継続の大切さを教える。小さな積み重ねが大きな自信をつくる。

・欧米の小学校では毎日30分の読書タイムが義務付けられている。9歳が読書力を身につける臨界期と考えられている。小学校低学年の時期は月に4-5冊は本を読むように励まし導く。年間100冊、卒業までに1000冊以上読破する子も少なくない。

子どもに選ばせることでイエス・ノー、好き嫌いが言えるような子に。親子の会話ではあえて、あいまい言葉ではなく、あれって何?、みんなって誰?、と質問返しをして考えさせる。小学校高学年からは、もし~だったらゲーム、究極の選択ゲーム、あなたならどうするゲーム、で言葉を使ったゲームをする。2歳からは「ごっこ遊び」にたっぷり付き合う。思考を刺激する質問をする。

子どもをたくさん笑わせる。感情表現豊かな人間にする。子どもの気持ちに親が共感することが大切。母親の表情は子どもにうつる。親はいつもニコニコ。親が聞く力を養い、色々子どもに質問して聞く。リアクションは2倍に。

・習い事はコミュニケーション力を学ぶ場でもある。スポーツは身体発達の偏りをなくすために、欧米では複数やらせる場合が多い。スポーツと文化活動を両方やることも、特定の人間関係に偏らせないため。世代をこえてコミュニケーションの機会を与える。大人の会話に口を出さない、などしない。子どもを大人の集まりに連れていく。演劇はコミュニケーションを伸ばす最高のツール。イギリスでは演劇が必修科目になっている学校も多い。

・魔の2歳児は、子どもの甘えたい気持ちに共感してあげる。嫌!を連発しても、目くじらをたてず、理由をわかりやすい言葉で教える。子ども扱いせず、落ち着いて大人と話すように諭す。それでもかんしゃくがおさまらない場合は、最終手段でこちょこちょ。言葉の力が育てば、イライラはおさまる。

・2-4歳で子どもを新しい環境に入れる時は、必ず前もってどこに行き何をするのか、または何をしてはいけないのか、事前に教える。おしつけではなく、意味も。「笑顔であいさつすると、自分も相手も楽しい気分になるよ!」子どもがしつけを受け入れない時は、まず心を満たす。添い寝をしたり、抱っこしたり、一緒に風呂にはいったり。男の子はおだてて動かす。女の子は見本を見せる。

・家族全員で食事をとる。PCやスマホなどは親子会議でルールを決める。ルールを守らなかった時の罰則も決める。ルールをプリントアウトして、子どもにサインをさせる。プログラミングを学ばせ、遊ぶ側からつくる側へ。

・13歳以降の思春期のティーンエージャーは放っておくことが基本だが、忙しくさせる。暇にしないこと。部活、塾、ボランティア、アルバイトなど。体を動くスポーツをさせる。

・6歳未満の子どもにスマホやタブレットをやらせっぱなしにしない。目安はゲームは30分以内。ゲーム以外も合計1時間以内、小学生は2時間以内。

子どもの宿題嫌いに多いのが、1人で勉強をやらされている場合。必ず親が一緒の場所でやらせて、わからなかったら聞いてねと声をかけておく。

 

●感想あれこれ

一流の育て方」「最高の子育て」と同様のダイヤモンド社の売れ線テンプレートな内容と表紙だが、この本は太字や線引きだらけではなく、読みにくくない。

子どもの自信を育てることを主眼に書かれていて、コンセプトもわかりやすい。

何か一つ自信がある分野を持たせる、というのは大いに賛成できるポイント。

 

アリヴェデルチッ!