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「いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる最高の子育てベスト55」

科学的にいいと言える子育てアドバイスを集めた本

●評価
全体評価:4
1,2,3-,3,3+,4,57段階評価

内容:4

読みやすさ:2

コメント:本の中は太字や赤線で読みにくいが、浅く広くまとまっている。

(2016年発行、トレーシー・カチロー著 ダイヤモンド社)

 

  • 本を読んで取り入れたいと思ったアクション

・語彙力の多い家庭環境

・子どもの睡眠と運動を十分に確保する。

・笑顔、ハグ、チョイスをあたえる。

 

・本のポイント

(太字は私が勝手に引いた強調)

・お腹の赤ちゃんはママの歌や物語を聞いている。ただし28週以前は朗読しても聴覚がないので聞こえない。誕生前にはパパの声は聞こえていない。

・新生児が泣きやむのに効果があるのは、ママの匂い、母乳の匂い、お腹の中で聞いた音(妊娠時にママが歌った歌や読み聞かせた話)、ママの身体に密着して歩く。特に最初の3か月は子宮内に似せた環境をつくると泣き止みやすく、おくるみ・横向き・うつぶせ・シーっという声や音・ゆらゆら・おしゃぶりなど。

・スキンシップでストレスが減る。肌と肌で触れ合ったり、どこでも抱っこ、毎日8分間のマッサージ。赤ちゃんは表情を真似されたりすることが好き。親も感度よく反応する。

・ポジティブな注目を子どもに与える。そうするとネガティブな注目を集めたがらなくなる。笑って、抱きしめて、励まして、一緒に家事をやる。

・3歳までにたっぷりと言葉を聞いた子どもはそうでない子どもに比べて、語彙力とIQが高く、成績が良くなる。出産予定日の10週間前からスタート。赤ちゃん言葉にこだわる必要はなし。前向きに直接常に話しかける。相手が話せなくても、音読したり、これからの予定を説明したり、親の1日を話して聞かせたり。3歳までに聞く単語数が語彙力を決める。毎月2万1000語聞かせるとよく、起きている1時間に15分程度話をしている位。

・読み聞かせのスタイルを年齢によって変える。本に接させる(6カ月まで)、写真や絵を説明する(6-12カ月)、読み聞かせ(1歳ー1歳半)。毎日ちょっとずつでも続ける。1歳半以上は、読み聞かせより、それについて語る時間をとる。いつ、どこで、なぜ、なに、など。本を使って言葉遊び(1歳半から3歳)、物語の出来事と現実を結びつける・読み聞かせて物語について質問(4-5歳)。本を読むこと自体より読んでいる親子の会話の方が重要。

・才能や人格を褒めない。努力やプロセスを褒める。

・ベビーサインは生後6か月で6週間程訓練すれば使えるようになる。イライラやストレスは激減する。

赤ちゃんは直線人間からしか言語は学べない。テレビや録音テープでは2歳程度までは学べない。複数言語を学ぶと言語習得が遅れるという証拠は見つかっていない。バイリンガル環境は赤ちゃんの脳にプラス。7歳までの子どもは第二言語をネイティブスピーカーとほぼ同等の堪能さで獲得できる。

・赤ちゃんの夜寝る時間を遅らせずに、リズムをつくる。生後6か月頃になってから、自力で寝てもらう練習や、夜中に泣いても数分待つことを始める。その時期を逃さず、困っていなくても、自力で眠ることをサポートする時期は伸ばさない。自力で眠るのが下手になった赤ちゃんは、ぐっすり眠ったあとにベッドに移された、両親と同室、抱きしめるねんねグッズを不使用、という特徴。

・泣かせっぱなしという睡眠トレーニングで、それが赤ちゃんの心の傷になる心配はない。やるならば、時間をきめてあやす、フェードアウト、などやり方をきめてしっかり続ける。就寝時刻が早くても遅くても、毎日同じ時間に寝る子どもは問題行動が少ない。

・例えば寝る前などのto doリストを絵や写真でつくり、一緒に確認することで、あれやれこれやれをいわないようにする。

母乳を与える期間が1月増えるごとに、子どもの知能指数が1/3ポイント上がる。母乳の期間が長いほど、3歳で語彙力スコアが高く、7歳で知能テストのスコアが高い結果に。

・最強のおもちゃは想像力をつかうもの。ブロック遊びや人形遊びなども。1歳半までは「はい、どうぞ」ができない。人のおもちゃをとったりする。

・幼児期までは人間の脳は人間から学ぶようにできている。知育ビデオを見た赤ちゃんは、見ていない赤ちゃんよりボキャブラリーが少ないという研究結果があり、製造者へのクレームを呼び、ディズニー社が保護者に返金する事態になった。

・明確でぶれない重要な2,3のルールを作る。子どもは何度もルールに挑戦するので、そのたびにルールの理由を説明し、子どもの価値観にルールを組込みようになる。ルールを一緒に作り、守ることを手伝う。

叱るより教える。叱るだけではなく、望ましい行動へのおきかえ。人を叩いちゃだめ!、と命令するだけではんく、「人を叩いてはいけないのよ。枕はたたいてもいいのよ。でも、人はダメよ」「手は優しくさわるためにあるのよ」など。長々と説教しない、ルールを持ち出す。

罰を与えていうことを聞かせることは、強い感情を無理やりおさえこませる、非礼なやりとりをする、力で問題を解決する手本となる。問題が起きた時は罰を与える機会ではなく、問題解決のチャンス。因果と関係のない罰は与えない。デザートスプーンをなげたらデザートを与えないなど、「因果」で子どもの自制心育成やルールの理解に重きをくものはいい。「罰」は権力を行使して、相手を辱めたり苦痛を与え、効果が薄い。

・ルールに従えない時は、知識が習慣になるまで繰り返すしかない。感情は選べないが、行動は選べることを教え、wheel of choiceをやってみる。

・子どもの睡眠と運動を十分に確保する。笑顔、ハグ、チョイスをあたえる。ルーティーンが独立心や自制心を育てる。

●感想あれこれ

一流の育て方」と、同じ時期にでているダイヤモンド社の、教育系「売れ線テンプレート」本。外国人子どをも表紙にもってきて、見にくい太字や線引きだらけ。ただ内容は、こちらの方がおすすめ。

個人的には知っている話が多かったが、広く浅くポイントを網羅しているので、読みにくさだけ我慢すれば、1冊持っていても損はない。20分の家族会議が幸せの秘密とか、本当に全てが科学的かどうかは微妙なものもあるが、たくさんの内容がまとめあげられている。

この著者が「はじめに」で本を書いた理由が、「ブレイン・ルールズ・フォーベイビー」の編集をやって資料を集めたからだと言っているが、英語が大丈夫な人はこの本はオススメ。ブレイン・ルールズは売れた本だけど、このフォーベイビーは邦訳版はないのね。

なお赤ちゃんの寝かせ方など、科学的実証があるとはいえ、あくまで欧米のケースと日本のケースでは、親と子どものコミュニケーションや環境が違うので、それが全て日本家庭にもあてはまるわけではない。私はそう思うので、まあ自分でしっくるするアドバイスをやってみるのがいいのではないだろうか。

教育本や子育て本は、子ども向けにかかれているが、多くは大人にも言える話が多い。「ルーティーンが独立心や自制心を育てる」の部分は、自分にあてはめながら、考えてしまった。

また語彙が豊富な家庭で育つと、IQが高くなるかは別としても、下の本の考え方とか、個人的にはしっくりきた。

アリヴェデルチッ!