大塚家具、ニトリ、IKEAに行ってきた③


大塚家具、いよいよ父娘の対決が激しくなってきた。

配当上げる発表やプロキシファイトから、株価もどんどん上がっているみたい。

③となる今回は、大塚家具、ニトリ、イケアの3社にお客として行った感想から、今後の大塚家具について考えてみたい。

大塚家具2

前回の大塚家具、ニトリ、IKEAに行ってきた②のエントリーで書いた通り、3社の中で価格はニトリが安い。

IKEAはニトリより高くサービスが悪いが、大塚家具よりは安い。

そして広い店内を全て見せて、多くのライフスタイルを強制的に提案するというスタイルで差別化されている。

大塚家具は家具も、営業マンのサービスも上質な分、価格も高い。

 

大塚家具の会長であり父の大塚勝久氏、娘であり社長の大塚久美子氏に確執については、色々報道がされている。

ワイドショーネタになっていることもあり、勝久氏がどこまで専制的な社長で弊害を持っていたのかは、内部の人間でも判断は難しいところだろう。

しかし、血の繋がった父親に対して完全に別れをつげ、親兄弟も社員もどちらかのサイドになるまで白黒つけさせて戦おうとする、娘の心境はどういうものなのだろう。

こんなバトルではどちらが勝つにしろ、負けたサイドについた社員はその後、大塚家具での将来は間違いなく明るくないだろう。

もちろん会社としても、炎上マーケティングで知名度を上げて良かったでは済まない。

 

ビジネスを別にしていえば、娘に対して、親子として人としてどうなのか、という議論が起こるのは理解にたやすい。

娘の久美子社長は、親を敵として徹底的に叩きのめす理由を、個人的な正義なり理由なりとして、説明した方がいいと思う。

ビジネスの何が正しいという議論と、親子としてどうあるべきかの議論は違うのだと思う。

 

まあ混みいった事情はここでは知りえないので、議論になっている経営方針について考えてみたい。

「勝久会長側が最も色をなして反論したのは、経営戦略の違いだ。

勝久会長としては、自身が開拓してきた、従来の会員制による対面販売を重視。

祖父母・父母・子どもの三世代消費に対応し、あくまで高付加価値戦略を追求する、としている。

一方で、久美子社長のやり方を、気軽に立ち寄れる店舗だが、低・中価格品シフトによる減収を、経費削減で補う縮小均衡型、とした。

「ニトリ、イケアを意識したら、間違える。家具は使い捨てじゃない。インターネットで、なんてダメ。われわれのよさは、最終的に商品をお届けしたときに、お客様にわかってもらえる」(勝久会長)。」

(東洋経済オンライン「反論!大塚家具、父・勝久会長が沈黙を破る」から引用)

 

前回のエントリーで言ったように、原料の仕入れや製造から垂直統合している、メーカー小売りのニトリと、色々なブランドの家具を扱う大手小売店の大塚家具は、ビジネスモデルが違う。

また売上規模をみれば、既にニトリの方が圧倒的に大きい。

メーカーモデルとなれば、スケールメリットが効くので、売れれば売れるほど、安くなる。

私には、売上がニトリより全然小さい大塚家具が、ビジネスモデルを変えて、メーカーとなり、ニトリと戦っていけるとは想像できない。

かといって、メーカーではなく、安い家具を仕入れるだけでは、利益率は上がらないし、売上も下がってしまうだろう。
(ここは量を売れれば、必ずしも売上が下がるとは言い切れないが)

 

何より、大塚家具の店舗をみて、私はその競争力の源泉は、長年培ってきた営業マンの知識やスキル・サービスだと感じた。

この競争優位は、1日にして築けるものではない。逆にニトリにはないものだ。

それを捨てて、安い家具をどんどん売るという戦略をとることで、大塚家具が勝てるとは到底思えない。

むしろこの強みを活かして、ニトリやイケアではとれない、顧客単価が高いお客さんをとることに集中すべきだと思う。

年齢が高い日本人は、イケアで2時間歩き回って、倉庫のような店内から大きな家具を自分で取って、買い物をしようと思わないだろう。

 

今回家具を買うにあたり、ベビーブーマー世代の大人とも色々話したが、この層からは大塚家具の信頼はとても厚かった。

理由は不明だが、大塚家具こそ一番安いと信じている人もいた。

こうした顧客もこれまでの大塚家具が築いた「資産」だ。

ユニクロモデル、ニトリモデルが流行だからといって、これまでの競争優位を捨てて、同じ戦いに身を投じるのは、きわめて疑問だ。

 

この「経営方針の議論」なるものが、メイン顧客となるターゲットの変更であるならば、これは会社のあり方にかかわる大きな決断だ。

社長が変わると既存の体制を否定したい気持ちはわかるが、これ程ドラスティックではない方法もあるだろう。

大塚家具での購買体験を通じて、私は直すべきは顧客や経営方針ではなく、その顧客にどう売るべきか、というマーケティングや営業のhow to論である気がしてならない。

 

実際には誰が経営者となり、どういった経営方針がなされるか。

正直、落としどころは創業者会長でなければ、第三者が経営者になることではないかと思っている。

しかしそれにしても、そこでどのような経営方針がとられるかには、注目が集まるところだ。

 

アリヴェデルチッ!