エルメスとクリスマス

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2014年のクリスマスシーズンが終わった。

私は悲しいことに、久しぶりに体調を壊して寝込むクリスマスだった。しかし、世間では多くの素敵なクリスマスが行われたことだろう。

日本ではプレゼントにブランド品を贈ることが多いと思う。

たまたま知人からエルメスのクリスマス企画を見せてもらったので、今回はハイブランドの雄、エルメス(Hermès)について書いてみる。

hermes

 

エルメスについては、語る必要がないだろう。フランス発祥のハイブランドのキングだ。

馬具メーカーから始まり、歴史を経て、今では鞄を中心としたトップファッションブランドだ。

もちろん、価格もトップクラス。

 

キングだけあって、そのエルメスのクリスマスの取り組みは本当に王道だ。

私がその知人から知ったクリスマスのスノーボール企画が、上の写真のもので、リンクはこちら。

エルメスが贈る、手のひらスノードーム

 

ハイブランドは、顧客をどれだけファンにするかが重要だ。

ちょっとマーケティングっぽい言葉で言えば、ブランドエンゲージメント(愛着とかファン作り、顧客との関係作り)だ。

このスノーボール企画はその一環だ。

 


Hermès – A little holiday magic!

 

この動画がエルメスのクリスマスの世界観を提供し、その後にスノーボール企画で、自分がエルメスの世界に入れる。

動画に自分の顔写真だけ入れて動かすメッセージなどはよくあるが、エルメスの世界に入れるのだ!

ただ、このエルメスの世界に入るには、エルメス銀座店か御堂筋店に行かねばならない。

この辺が、ハイブランドがハイブランドたるポイントだ。

面白い企画で、ただたくさんのシェアを狙うならば、店に行かずに誰でも自分の顔写真をPCからハメれるようにすればいい。

しかし、それはエルメスの目的ではない。

エルメスの顧客はその超高価格ゆえに、限られている。

エルメスの顧客は一般人ではない。リッチなファン客なのだ。

そう、エルメスは客を選ぶのだ。

企画はそうした自分達の顧客とのエンゲージメントを中心に作られている。

誰もが簡単にできる企画は、目的ではないのだ。

 

ファンならば、店まで行くだろう。

わざわざ行って作った、スノーボールはシェアしたいだろう。

そしてシェアするファンの周りには、エルメスのファンになるかもしれない、潜在顧客が多いだろう。

 

その一方で、このスノーボールを周りに送りまくると、超ブランド好きめ!ということになるかもしれない。

しかしこのブランドエンゲージメントは何も顧客だけから始まらなくてもいい。

ショップスタッフから顧客に贈る、クリスマスカードも毎年毎年同じでは能がない。

そんなときに、担当のスタッフからこれが贈られてきたら、どうだろうか。

そんな使い方もたくさんされていることだろう。

 

エルメスは12月23日まで、「エルメス レザー・フォーエバー」という展示会をやっていた。

これはエルメスが、どういう想いで、その高品質のレザー製品を作っているのかというストーリーを紹介する場だ。

さらなるエルメスファンを作ったり、さらなる熱狂的信者を生み出す企画だ。

 

こうしたハイブランドの製品はコストだけでいえば、価格の半分の価値もない。

それをこうしたストーリーでブランドを作り、顧客エンゲージメントでファンを作り、価値の大半を創る。

こう書くと価値がないものを高く売っているように見えるが、そうではない。

本当に生産コストだけでみたら、ハイブランドなんて誰も買わないだろう。

ハイブランドはコストだけでは見えない価値を生み出す努力を真剣にしているのだ。

だから顧客は高くても、そのブランドを買い、幸せな気分になるのだ。

私もエルメスもらったら幸せな気分になると思う。クリスマスに病床に伏した私に、誰かプレゼントしてくれないだろうか。

 

アリヴェデルチッ!