年末ジャンボ宝くじの魔力は本物か

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年末ジャンボ宝くじの季節になった。

広告もたくさんやってるし、テレビの特集でも取り上げられていた。

「良く当たる!」と言われる宝くじ売り場では行列ができ、地方から来る人もたくさんいるとのこと。

私の周りには、「宝くじは夢を買えて最高だ!」と絶賛する人たちがいる。

果たして、本当に宝くじはそんな魔法のようなものなのだろうか。

takara kuji

 

結論から言おう。

宝くじの恐ろしい魔力は、それを買わせることだけだ。

 

どういうことか?

宝くじとは、確率だ。

確率といっても、投資と呼べる代物ですらない。買って、運を天に任せて待つだけの、ギャンブルだ。

その構造はカジノのルーレットやスロットマシーンと変わらない。

宝くじが夢を売っているのだとすれば、その夢はできるだけ多くの人が当選して、それぞれの夢を叶えるように設計されるべきだ。

しかし、宝くじという魔法が何より購買者を馬鹿にしているのが、その販売金額の使い道だ。

なんと当選金は、販売金額の半分もないのだ!

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宝くじ公式サイトより引用 )

その40%は政府の公共事業に使われているのだ!

その金額年間4000億円。

政府にとっては文句を言われずに、うまく税金を集めているのと同じだ。

4000億円!!!

 

話に戻ろう。

では当選金が販売金の50%以下という事実の、何が問題なのだろうか。

この50%以下というのは、期待値という数字だ。100円払ったら50円以下が、見込み(リターン)として戻ってくるということだ。

このリターンは恐ろしく酷い。酷過ぎる。

一般的にギャンブルと言われる、射幸心を煽る賭博事業でも、期待値がこんなに低いことはない。

競馬でもパチンコでも、期待値が半分以下なんて全然ない。

ただ買って待つだけの、同じようなカジノのルーレットやスロット。事業者がボロ儲けしているように見えるかもしれないが、それでも期待値は90%を超える。

 

それに対して、46.9%とは何事だろうか?

人に大金ゲットを夢見させるだけ見させて、射幸心を煽り、それが当たる確率は圧倒的に低い。

政府は投資商品を買う時は、宝くじのような表現でのプロモーションを認めない。

射幸心を煽り過ぎると問題だとか、お金が戻ってこないリスクの説明がないだとか。

では一般的な株や債券より圧倒的に期待値が低く、損する可能性がとても高いこの宝くじに、リスクの説明があるのだろうか。(投資家はこんな期待値の株や債券だったら、当然誰も買わないだろう。)

そう、宝くじは投資商品ではないから大丈夫なのでは、と思うかもしれない。

では何か。投資よりもっとひどいギャンブルだ。

ギャンブルの中でも、とってもとっても負けやすいギャンブルなのだ。

 

多くの人がボーナスを得るこの時期。

そのお金を使って、「宝くじという夢を買わないか?」は魔力のような魅力がある。

私の周りでも、私がこういう話をいくらしても、「夢を買えるから、本当に素晴らしい!私はそれで幸せだから、それでいい。」、という人がたくさんいる。

このカラクリを説明した後でも、そのセリフを言われたら、もう何も言えない。

私は自分の周りに人間にすら、この魔法を解くことができず、ただひたすら強大な魔力を前に、屈するのだ。

そして、心の中でこう言う。

ありがとう、私の代わりに宝くじという税金を払って、4000億円もの公共事業費を支出してくれて。


アリヴェデルチッ!