映画「寄生獣」のエンタテイメント

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映画・寄生獣を見た。

原作が好きな作品の実写化は、映画になって良かったなと思える場合と、そうでない残念な場合が2極化する。

この映画は実写化されて良かった方だ。つまり、面白かった。勿論技術としてVFXが不自然でなくなったこともあるかもしれないが、最後は脚本次第。ある程度ボリュームがある原作の世界観を削らずに、どう映画にするのか。そこが脚本家の腕の見せどころだ。VFXの山崎貴監督と古沢良太脚本家、さすが!

寄生獣

例えば漫画原作で実写映画になって良かった作品では、近年ではGANTZが面白かった。あの世界観を実写で表現できるのって素晴らしいよね。

反対に残念な実写版の代表が「ドラゴンボール」。ハリウッド映画だかなんだか知らないけど、脚本も表現もあまりにひどかった。ドラゴンボールファンとしては、ただ作品を貶めるために作られたのではないかと疑う程だった。

寄生獣に関して、私が面白いと思うことは、エンタメ性だけでなく、そのテーマ性だ。

物語にはテーマがある。ワンピースは、友情を軸にした冒険物語だし、週刊少年ジャンプのテーマが、「友情」「努力」「勝利」であるのは有名な話だ。

それで言うと、多くの少年・青年漫画は友情・男(女)のロマン・愛(親子/恋愛)などをテーマとしながら、物語が進むことが多い。

寄生獣がユニークな点は、親子愛や、ミギーとの友情、恋愛などの要素もちょっとずつ入れながら、「人類はこのままでいいのか」という大きなテーマを持っているということだ。

大きくて深いテーマを持ちながら、漫画で面白いエンタテイメント作品に仕上げている。

人口爆発している人類。それに伴い、どんどん環境破壊など地球へのダメージを増やす人間。

寄生獣がただ人間を食べる化け物として描かれるだけでなく、人間はこのままでいいんだっけ?、という深いテーマを投げかける。

人間という種の繁栄を考える時、本当にこの状態は正しいのだろうか、と問いかける。

この作品自体はもう25年以上前のものだ。

しかし、このテーマは今なお褪せることなく、寄生獣はエンタテイメントでありながら、哲学的な問題提起を含み、楽しく鑑賞させてくれる。

アリヴェデルチッ!